Penguin-AppliedPhysicsのブログ

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令和1年7月 一陸技「無線工学の基礎」A-7

A-7 次の記述は、図に示す直列共振回路について述べたものである。⬜︎内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、交流電圧V[V]の角周波数をω[rad/s]、回路に流れる電流をI[A]、回路の共振角周波数をω0[rad/s]とする。
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この手の問題、コンデンサやコイルの感覚を掴めているか…ですね。

大きく分けて、2つを抑えておきましょう!

コンデンサやコイルの位相について

コンデンサ \frac{\pi}{2}位相が進みます

電圧がピーク(満充電)のときに電流が0になり、放電し始めると電流が流れ出します。このとき、電圧は低下しているので、電流がピーク(放電中)のときに電圧が0になります。(あくまでも簡単なイメージですが…)

・コイルは \frac{\pi}{2}位相が遅れます。

コイルは圧倒的な保守派なため、電圧に対して、それを打ち消すように電流を流します。

例えば、電圧が正のピークのとき、電圧の時間変化はありませんので、電流は0です。しかし、ここから電圧が減少していくと、現状維持しようと電流を正の方向へ増加させていきます。一方で、電圧が負のピークから増加していく場合、電流は電圧を増加させまいと減少していく訳です。

圧倒的保守派なコイルは、電圧の変動があったら、それに反対して動きますので、対応が遅れます!

すなわち、コイルは位相が遅れるのです(コンデンサはその逆で位相が進む)

詳しくはこちら…

www.mazasunara.com

 

そして、次の項目は

コンデンサとコイルの周波数特性について

コンデンサは高周波が通りやすい

コンデンサは充放電を繰り返すので、電流の向きが行ったり来たりします。行ったり来たりすることで、金属板に挟まれた誘電体に電流が流れます(変位電流)。

なので、行ったり来たりしない直流なんかだと、コンデンサは高い抵抗物になり、電流を中々通しません。

・コイルは低周波が通りやすい

圧倒的保守派なコイルは、低周波のようにゆっくり振幅が変化するものに対しては、その変化に気づかず、反対に動きません。その代わり、高周波は時間的にもめちゃくちゃ振幅が変化していますので、その変化に反対して、めちゃくちゃ抵抗が高くなります。

詳しくはこちら…

www.tdk.com

 

さあ、前置きが長くなりましたが…

まずAについて

 \omega<  \omega_0のとき、単純に \omega低周波と見なせます。

このとき、コンデンサとコイルどちらの方が抵抗が大きいかと言うと、低周波を通しにくいコンデンサです。

今回は、直列回路ですので、抵抗が大きければ電圧も大きくなります。すなわち、

 V_L V_Cよりも小さいです。

 

次はB!

これは基準の Vに対してですから、 \frac{\pi}{2}ですね。

 

次はC!

 \omega > \omega_0のとき、 \omegaは高周波となります。

Aとは逆でコイルの抵抗成分が大きくなりますので、 Iもコイルの影響が支配的になります。(直列なので)

なので、位相はというと、支配的なコイルで考えればいいですから、遅れるが正解となります。

 

なので、答えは1です!(イェーイ)

 

詳しくはこちら…(並列回路についても記載有です)

www.gxk.jp