Penguin-AppliedPhysicsのブログ

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令和3年1月2回目 一陸技「無線工学の基礎」A-1

A-1 次の記述は、図1に示すような円形コイルしの中心軸上の点Pの磁界の強さを求める過程について述べたものである。⬜︎内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、Lの円の半径をr[m]、Lに流ず直流電流をI[A]、点Pとしの円の中心との間の距離をa[m]とする。なお、同じ記号の内には、同じ字句が入るものとする。

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びおさば!

 

全く同じ問題はこちら

https://penguin-appliedphysics.hatenablog.com/entry/2023/10/29/231147

 

Aについて

ビオ・サバールの法則を知っていれば、解けそうな問題

そもそも、ビオ・サバールの法則とは、

・電流Iが流れている導体の微小部分dlが作る磁界dHを表した法則(問題の通りだけど...)

1820年にフランスの物理学者、ビオとサバールが見つけた。(デンマークの物理学者エルステッドが電気回路をいじっていた際に、近くにあった方位磁石が北ではない方角を指し示していることに気が付き、電流と磁場の関係について電流の磁気作用を発表したことを受けての定式化らしい。)

その定式は、以下のようにあらわされる。

 dH=\frac{Idl\sin\phi}{4\pi R^{2}}

よく、 \thetaが使われますが、問題文中に使われてしまっているので、\phiを使用してます。

ちなみに、 Rは図中の斜め線の長さ(aとrの三平方の定理であらわされる距離)。

今回は、円電流が作る磁界の強さなので、

\sin\phi = 1

なぜなら、dIの微小部分の接線(円の接線)とPは垂直の関係にあるから。

先ほども言ったように、三平方の定理より

 R^{2} =a^{2}+r^{2}

なので、答えは、

 dH = \frac{I}{4\pi(a^{2}+r^{2})}dl

ビオ・サバールの法則が元々、 R^{2} なので、引っかからないようにしたい...

 

Bについて

これは、(3)の文章を読めば、Aの答えに \sin \thetaを掛け合わせただけなのである!

 \sin \thetaは、高さ/斜辺なので、

 \sin \theta = \frac {r}{R} =\frac {r}{\sqrt {a^{2}+r^{2}}}

より、答えは

 dH=\frac{Ir}{4\pi(a^{2}+r^{2})^{3/2}}dl

になります。

 

Cについて

あとは、積分をすればいいわけですが、問題文より

 \displaystyle \int_{0}^{2\pi r} \frac{Ir}{4\pi(a^{2}+r^{2})^{3/2}}dl

これは、このように式変形出来て

 \frac {Ir}{4\pi(a^{2}+r^{2})^{3/2}} \displaystyle \int_{0}^{2\pi r} dl

積分の部分に着目すると、一周分の積分ですから、

 \displaystyle \int_{0}^{2\pi r} dl = 2\pi r

になります。なので答えは

 dH = \frac {Ir^{2}}{2\pi(a^{2}+r^{2})^{3/2}}

になります。


答えは 5です!(イエーイ)